⾻は動いている
2025年1月25日更新
- 公式ブログ

⼈の背⾻が絶えず動いていることを⽬の当たりにした時の驚きを、今でも鮮明に覚えています。動いていたのは背⾻だけではなく頭蓋⾻や⾻盤も同様で、刻々と⾻格全体を動かしているのです。
解剖学の常識では「⾻は動かない」と認識されています。これは、⼈体解剖学の研究が亡くなった⽅のご献体を対象としているが故の「死んだ⾝体の常識」であると私は知りませんでした。
私は教員をしている頃、医学⽣が学ぶ⼈体解剖実習の研修を受けていました。確かに、死んだ⼈の⾻は「動かない」。ところが、⽣きている⼈の⾻は確実に「動く」のです。⽣きている⼈の⾝体を知るために、死んだ⾝体を研究すること。⾝体の構造を解き明かすことは出来るのですが、⽣きている⼈の⾝体が呼吸や⼼臓の⿎動と共鳴して起こる繊細な振動や動きについてはわかりようもありません。
⽣きた⾝体にしっかりと向き合わずに、科学的な数字や検査結果のデータばかりを鵜呑みにしていると、⽣きている⾝体に起きている事実を簡単に⾒誤ってしまうことを解剖実習を通して教えられました。
「⾻が動いている」という体感。この感覚を⽇々コツコツと⾃覚することの中に、身体が望んでいる健康を⼿に⼊れるエッセンスが凝縮されています。
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