投球障害の本質
2025年4月29日更新
- 公式ブログ

かつての私は、甲子園出場を夢見て日々練習に明け暮れる野球小僧でした。ところが、夢中になって練習しその度に上達する喜びを感じる事が出来たのは小学生までの話。
それ以降は、度重なるケガに悩まされ、野球どころかボールに触れる事も嫌になり、最後は思うようにボールが投げられなくなる始末。
そんな私が、その後に“スポーツトレーナー”として選手をサポートする事を目指し、“投球障害”と呼ばれる肩や肘のケガを防ぐための投球フォームやトレーニング方法について野球少年に向けて講習を行うような立場になったわけですが、そのこまでの過程は、私の中ではごく自然な流れでした。
トレーナーの現場で、繰り返し肘を痛めていた一人の野球少年(A君)と出会い、こんなやりとりがありました。
A君:「僕はもう、ボールを投げていいですか?」
私:「この肘の状態ではまだ厳しいなぁ・・。」
私の返答は、なんとも中途半端なものでした。恥ずかしながら、この時の私はケガの本質を捉える事が出来ていなかったのです。そもそも、なぜ、肘や肩を痛めるのか。同じように練習しているのにケガをする子としない子がいるのはなぜか。単純に[投げ方が悪い]や[投げすぎ]のような安直な説明では、到底納得する事は出来ませんでした。その日をきっかけに私がケガの本質を探求するという日々が始まったのです。
その結果、人体の「骨格と動作の特性」を理解する事にたどり着き、投球障害の本質は『投げる時の重心』と『利き腕(肘より先)の偏り動作』の2つであると気づきました。他にも年齢や体の傾向によって原因が変わりますが、本質的な部分は同じです。
そしてこれらは、“日にち薬”で改善するものではなく、痛みが取れても同じ身体の状態でボールを投げてしまえば、また同じように痛めてしまう事は容易に想像できます。
今、そう体堂での施術では『身体の重心』と『偏り動作』が改善していく過程を体感してもらうことを大切にしています。これは痛みを治す為だけではなく、その後の練習やトレーニング時の動作の改善にもつながると考えているためです。
もしも、あの日のA君や野球小僧だった頃の自分に、この本質を伝える事が出来たなら、一体どんな将来が待っていたのだろう・・。と、今でもつい思いを巡らせてしまいます。
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